新学術「分子夾雑化学」レクチャーツアー ( A01 計画班 : 浜地先生 )
レクチャーツアー報告書
京都大学大学院工学研究科 浜地 格
総括班・計画研究A01班の浜地格は、2018年3月15-16日に、ドイツ:ハイデルベルグのMax Planck Institute for medical research(Heidelberg)において開催されたworkshop: Grand Challenge on Analyzing and Manipulating Cells on the Nanoscaleにおいて、生細胞や脳組織内の多成分夾雑系での神経伝達物質受容体のラベル化とイメージング、ケモジェネティックな機能制御に関する招待講演を行い、その機会を活用して、分子夾雑の生命化学という本学術領域が日本の科研費プログラムの中で立ち上がったことの紹介を行った。
Max Planck Institute for medical research(Heidelberg)は、超解像顕微鏡の一つであるSTED顕微鏡の開発でノーベル化学賞(2014年)を受賞したStefan Hell博士が率いる研究所であり、1年前にタンパク質ラベル化(SNAP)タグで著名なKai Johnsson博士を招聘し、バイオイメージングの世界拠点となりつつある。
本ワークショップでは、ドイツ国内を始めとして100名以上の参加者を集めて、細胞挙動をナノメートルレベルの精度で解析し、また操作するために必要な方法論、分子ツールの開発からそれを用いた生命現象の観測と理解に関する最先端のトピックスが発表され、議論された。
また本workshopには、本領域評価者である浦野教授(東京大学)も招待されておられ、期間中に、Hell博士やJohnsson博士と浦野教授を交えて、分子夾雑の生命化学分野の国際交流を進めるため、今後の国際共同研究および若手研究者の派遣・受け入れについての意見交換を行った。