海外研究者受入報告書 ( A02 計画班 : 三好先生 )
海外研究者受入報告書
甲南大学フロンティアサイエンス学部 三好大輔
計画研究A02班「細胞夾雑模倣系の構築と細胞内活性分子設計指針の構築」グループでは、2019年10月22日~11月20日にChemistry department, Laboratory for Chemistry of Novel Materials, University of Mons (UMONS), BelgiumのPostdoctoral ResearcherであるMathieu Fossépré博士を日本に招聘し、分子夾雑環境における核酸と低分子化合物のドッキングシミュレーションとの分子動力学(MD)シミュレーションに関する共同研究を推進し、密接な議論やセミナーを行った。
Fossépré博士は学位取得後3年目の新進気鋭の研究者であり、核酸やタンパク質と化合物(低分子及び高分子)の結合シミュレーションに関して豊富な経験と優れた業績をもつ。Fossépré博士のSupervisorである同大学のMathieu Surin教授と三好とは、相互に訪問することで、核酸と機能性高分子や低分子化合物の相互作用に関して共同研究を進めるべく議論を稀有属してきた。
今回の来日では、分子夾雑環境下での四重らせん構造と低分子化合物のドッキングシミュレーションを様々なプログラムで行い、実験結果と比較することで、分子夾雑環境における核酸に対するリガンドの挙動を解明することを試みた。このような計算プログラムのほとんどは、水溶液中でタンパク質を標的とすることに最適化しているが、分子夾雑環境で核酸を標的とした場合でも実験結果と非常に良い一致が得られるプログラムを開発することができた。今後は、このプログラムを用いることで、三好が行う実験的スクリーニングの結果を計算で再現することや、分子夾雑環境におけるバーチャルスクリーニング等を遂行する予定である。
また、11月5日には甲南大学フロンティアサイエンス学部レクチャールームにおいて、同氏に「Onnthe self-assembly and dynamics of nucleic acids with functional molecules: a molecular modeling approach」と題した講演を行っていただいた(写真)。このセミナーには内外から約30名が参加した。計画班メンバーのみならず、大学院生等も積極的に発言するなど、活発な議論が行われた。
滞在期間を通じ、若手研究者の交流も積極的に行われた。共同研究の進展のみならず、若手研究者の育成についても波及効果が得られた。