新学術領域「中分子戦略」「分子夾雑化学」ジョイントシンポジウム 第21回生命化学研究会が開催されました。
新学術領域「反応集積化が導く中分子戦略」「分子夾雑の生命化学」
ジョイントシンポジウム 第21回フロンティア生命化学研究会 報告書
京都大学 工学研究科 CIBIC特定助教 坂本清志
平成30年9月8日に大阪大学豊中キャンパス南部陽一郎ホールにて、新学術領域研究「反応集積化が導く中分子戦略」、「分子夾雑の生命化学」ジョイントシンポジウム、第21回生命化学研究会が、下山敦史先生(中分子戦略、大阪大学)、真鍋良幸先生(中分子戦略、大阪大学)、清中茂樹先生(分子頬雑化学、京都大学)、三好大輔先生(分子頬雑化学、甲南大学) のお世話のもと開催されました。シンポジウムでは、両領域に参画する若手研究者5名に加え、お二人の招待講演の先生に最新の成果をご発表いただきました。本シンポジウムは、異なる新学術領域間の研究内容を相互共有するとともに、研究者間の交流を深めてお互いの研究領域を一層推進することを目的としています。本シンポジウムには、合計89名が参加し、大変盛況な会議となりました。
シンポジウムでは、冒頭に「反応集積化が導く中分子戦略」領域代表深瀬浩一先生から開会の辞をいただき、若手研究者が新しいサイエンスにチャレンジすることの重要性をご指摘いただいております。次いで、各演者の先生による発表が行われ(発表20分、質疑応答5分)、有機合成化学、生物物理化学、ケミカルバイオロジー、構造生物学等を含む非常に多岐に渡る分野から、最新の成果を含む研究をご講演いただきました。本領域からは、茶谷絵里先生(神戸大学) が、「アミロイド繊維の核形成に見られるタンパク質分子の集合挙動」、喜井勲先生(理化学研究所) が「リン酸化酵素フォールディング中間体を標的とした創薬研究」のタイトルで発表されています。また、本領域からの招待講演者として當舎武彦先生(理化学研究所SPring-8) をお招きし、「SACLA を利用した時間分解構造解析による酵素反応の観測」に関してご講演いただきました。
会議全体を通じて、非常に活発な質疑応答と議論がなされ、大変有意義なシンポジウムとなりました。また、シンポジウムの最後に、本領域代表浜地格先生が閉会の辞を述べられ、本ジョイントシンポジウムが領域間をこえた新しい研究者間交流や共同研究のきっかけになることを期待されました。また、懇親会の席上では、フロンティア生命化学研究会会長である佐藤智典先生(慶応大学) から、新学術領域における若手研究者間の活躍と交流が今後重要であるとのお言葉をいただきました。本シンポジウムと懇親会を通じて、参加者による交流と積極的意見交換が行われ、「反応集積化が導く中分子戦略」、「分子夾雑の生命化学」という両領域を推進する上で大変有意義な会議となりました。
ジョイントシンポジウム•生命化学研究会参加者集合写真
新学術領域「反応集積化が導く中分子戦略」「分子夾雑の生命化学」
ジョイントシンポジウム 第21回フロンティア生命化学研究会 プログラム
12:55 – 13:00 深瀬浩一 大阪大学
開会の辞
13:00 – 13:25 布施新一郎 東京工業大学
高速マイクロフローアミド結合形成法の開発とペプチド合成の革新
13:25 – 13:50 後藤佑樹 東京大学
共有結合を介して標的に結合する高選択性中分子化合物の汎用創製手法の確立
13:50 – 14:15 當舎武彦 理化学研究所
SACLAを利用した時間分解構造解析による酵素反応の観測
14:15 – 14:40 茶谷絵理 神戸大学
アミロイド線維の核形成に見られるタンパク質分子の集合挙動
15:00 – 15:25 休憩
15:25 – 15:50 喜井勲 理化学研究所
リン酸化酵素フォールディング中間体を標的とした創薬研究
15:50 – 16:15 吉田優 東京医科歯科大学
クリックケミストリーをもっと便利にする手法開発
16:15 – 16:40 岡本亮 大阪大学
非天然型糖タンパク質を合成し天然型糖鎖の機能を探る
16:40 – 16:45 浜地格 京都大学
閉会の辞
17:00 – 19:00 懇親会(らふぉれ,豊中キャンパス内レストラン)