新学術領域「分子夾雑の生命化学」・日本生物物理学会共催シンポジウム「分子夾雑のススメ」が開催されました。
新学術領域「分子夾雑の生命化学」・日本生物物理学会共催シンポジウム「分子夾雑のススメ」報告書
東京大学 田端和仁 / 甲南大学 三好大輔
2019年9月25日にシーガイアコンベンションセンター(宮崎県)にて日本生物物理学会との共催シンポジウムを開催しました。領域内外からの招待講演者によって、次のようなプログラムでシンポジウムが進行しました。
タイトル:分子夾雑のススメ
期日:2019年9月25日 8:30〜11:10
会場:シーガイアコンベンションセンター 4F B会場(天玉)
プログラム:
・Chemical control of protein localization in the multimolecular cellular space
Shinya Tsukiji (Grad. Sch. Eng., Nagoya Inst. Tech.)
・Secondary structure of DNA for liquid-liquid phase separation
Masahiro Mimura, Shunsuke Tomita, Ryoji Kurita, Kentaro Shiraki (Pure and Appl. Sci., Univ. Tsukuba, Biomed. Res. Inst., AIST.)
・相分離生物学:相分離するLC ドメインPhasing Biology: Low-Complexity Domains Phase-Separate through Cross-βInteraction
森英一朗(奈良県立医科大学医学部未来基礎医学)
・分子夾雑系における光センサー蛋白質の動的挙動―揺らぎと反応ダイナミクス―Fluctuation and reaction dynamics of a light sensor protein in crowding environment
中曽根祐介, 村上大斗, 寺嶋正秀(京大・院理)
・細胞様構造や細胞組織体の自己創生:分子夾雑系の活用Self-emergence of primitive cell and cellular mini-organoids under crowding environment
吉川研一(同志社大学生命医科学部)
当日は、約100名の聴衆があり、分子夾雑に関する関連研究分野における興味の高さが示されました。新しい分子イメージング技術、細胞内外での相分離現象の解明、分子摂動の新しい測定方法、分子夾雑の物理理論など、最先端の研究成果が発表されました。
また分子夾雑と細胞内の相分離現象は密接に関連する現象であり、この点に関しても非常に活発な議論が行われました。分子夾雑の生命化学のコンセプトや研究成果を生物物理分野においても周知し、研究の進展につながる機会になりました。