分子夾雑の生命化学

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分子夾雑の生命化学 第3回領域会議が終了しました。

分子夾雑の生命化学第3回領域会議 報告書

京都大学 工学研究科  CIBIC特定助教 坂本清志

  令和元年5月20 – 22日にアゴーラ福岡山の上ホテル&スパにて、新学術領域研究「分子夾雑の生命化学」第3回領域会議が開催されました。領域開始から3年目にあたり、多くの計画班および公募班の先生方に参加いただき、研究の進捗状況ならびに得られた最新の成果についてご報告いただきました。本領域会議は、領域内の研究成果内容を共有するとともに、研究者間の連携を深めて共同研究を一層推進することを目的としています。本会議には、評価委員2名に加えて、計画研究者9名、公募研究者32名、分担連携研究者等12名の計55名が参加し、大変盛況な領域会議となりました。

  領域会議では、冒頭にA02班代表の杉本先生から本領域の趣旨説明に加えて、これまでの成果、活動内容等が報告されました。次いで、3日間にわたって各A01、A02、A03班に所属する計画班および公募班の先生方による各研究説明が行われ(発表20分、質疑応答5分)、合成化学、物理•計算化学、分析•応用化学等を含む非常に多岐に渡る研究分野から、非理想状態である分子夾雑な環境の生体分子システムの理解をすすめる上で重要な数多くの成果が報告されました。

今回の領域会議では、「細胞夾雑環境下における合成分子ツールの分解挙動とプロテアーゼの同定」(A01 築地– A01 小松) や「ネイティブ質量分析による未精製タンパク質と低分子量化合物の相互作用解析」(A02 明石– A01 浜地) 等、領域に参加する研究者間の共同研究にもとづく成果も数多く報告されています。また、A03班武森先生によるJoseph A. Loo研究室(UCLA) 訪問と共同研究に基づく成果発表や、A03班会大森先生からのGraham Cook 研究室(Purdue University) を拠点とした7 研究室訪問による新規質量分析技術•情報の取得や複数の共同研究開始等、本領域の海外派遣制度を利用した報告も多くなされました。

領域会議2日目には、浜地領域代表から本年度における領域活動予定などの説明が行われ、領域研究計画後半に向けて、計画班および公募班のメンバー間による積極的な連携研究の推進が促されました。また、会議最終日には、評価委員である川合知二先生(大阪大学)と浦野泰照先生(東京大学)から「会議全体を通じて若手研究者による活発な議論がなされている」とのお言葉をいただきました。

本領域会議全体と懇親会を通じて、参画研究者による積極的意見交換と交流が行われ、分子夾雑化学という新しい学理の構築を目指す本領域を推進する上で大変有意義な会議となりました。